年を重ねると経験が身につく。それは大変いいことである。
経験を積み重ねるとあらゆる想定外の事象に対して今までよりも的確に判断することができるようになる。すると「きっとこうなるだろう」と考え、イベントが起こる前に逆算することで事態に対処することになる。
だがそれもまたメリット、デメリットがある。
逆算するメリット:処理能力が早くなる
たとえばとても癖のあるお客さんに出会ったとしよう。
「お客様、本日のお会計はこちらになります」
「いや、こんな高いなんて聞いていないよ」
なんてクレームじみて言われたりする。経験していない状態だと、
「あ、えっと…すみません」
などと言ってしどろもどろになってぎこちない対応になってしまうことだろう。だがもしこれを一度経験しているのであれば、
「お客様、値段が高いとおっしゃっていますが、こちらの商品だとどのくらいの値段が適切だと考えていらっしゃいますでしょうか?」
…と、一歩下がり冷静にやりとりができるようになる。
経験こそどんな事柄にも勝る勉強方法である。経験以上に学べる方法はないと考えている。経験は、ある程度の算段ができる。
「このイベントは、こんな手順を踏めばこのくらい、例えば1時間くらいで終わることができるかな」
といったシュミレーションを立てることができるようになるのである。
経験値を積むことで、その後に起こる出来事を想像することができる。だからこそ、逆算した行動ができるようになるのである。
逆算する行動は、目標が明確だ。それに向かって活動することでスピードアップすることができる。経験に基づいた逆算行動は、早い仕事処理が可能になる。
逆算行動のデメリット:イレギュラーに弱くなる
デメリットも存在する。
それは、イレギュラーに弱くなることである。
経験値が多くなれば、それなりに今後想定するパターンが想像できる。その想像内のパターンなら対処できるようなイメージである。経験によって培ってきた引出が多いので、どんなパターンにも対応できるようになる。
だが一方で、その引出以外のパターンが発生したら、
「こんなこと今まで経験したことがない。対処方法が分からない…」
という事態に陥る。
いわゆる「マニュアルしかこなせない状況」になっていて、自分がいかに経験を積んだとしても、新しいことがまた発生すると、逆にそれに対応できなくなる。
経験値を多く重ねると、一方で柔軟に対応することができなくなるのである。
それだけではない。ストレス耐性に弱くなるのである。
経験が多くなると、逆算してスピードアップを必ず図ろうとする。いわゆるせっかちになってしまうのである。
「このゴールなら、この過程で処理可能だ。だからこうやって、こうやって…」
などと事細かにプロセスを設定していると、突然訪れる想定外の出来事に大きなストレスを感じるようになる。
「…ちょっと、今順序立てて仕事を処理しているのに。邪魔しないでくれる?」
なんて思ってしまうのである。そう思ったら、相手にその雰囲気が伝わらないはずがない。いわゆる完璧主義に近くなってしまう。こうなると、少しでも道が逸れただけで大きなストレスを感じてしまうのである。
まとめ
今日は大変取り留めのない話になってしまったが、「逆算行動」は諸刃の剣である。
仕事の処理能力は早くなるが、想定外のシチュエーションに大変弱くなり、大きなストレスを抱えるようになってしまう。
だからこその結論である。
「逆算行動とお酒は一緒である。大変効果的だがやりすぎると身体に悪い。だからほどほどに」
以上
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