ふるさと納税のしくみ
最初は否定的だったこのふるさと納税だった。「自分がいたふるさとに納税するのに、何故返礼品目的で縁もゆかりもない市区町村に納税しているのか?ただの税金対策じゃん」と、当時は思っていた。
今や、自分も税金対策のために積極的にふるさと納税をしている。笑
「パパ、何しているの?」
最近娘の弥生は、PCとにらめっこをしている僕に無邪気にその質問を投げかける。5才の関心はまさに無限大。どんなものにも興味を持つ。彼女は勝手に僕のPCをタイピングし、「こらっ」と僕にたしなめられる。
「ふるさと納税っていうのをやってるんだよ」
「ふるさとのーぜい?」
「そう。応援したい地域にね、お金を送るんだ。そうするとその地域から『ありがとう』って御礼を言われて、美味しい食べ物や飲み物をくれるんだよ」
弥生は少しポカーンとしている。
「チイキって何?」
「僕らが住んでいるのは埼玉でしょ?隣は東京、その隣は神奈川って場所なんだ。これが地域」
「ふーん」
分かっているのか分からないのかあいまいな返答だ。無理もない。僕の表現もあまり上手ではないかもしれない。
ふるさと納税も子どもの教育のネタになる
「弥生が好きな食べ物ってなんだっけ?」
「おすし!」
弥生は即答した。僕と外出する時、必ずおすしを食べたがる。
「お寿司のネタのお刺身は、何でできてる?」
「おさかな!」
「そうだよね。お魚っていうのは、海で泳いでいるよね?僕らが住んでいる埼玉には、海ってある?」
「ある!このまえ公園にいったときに水あそびした!」
「あれは川ね」
僕は笑いながら答えた。
「埼玉には海がないんだ。だから埼玉では、海のお魚は取れないんだよ」
「ふーん」
僕はグーグルで日本地図を出して、弥生に見せた。
「いいかい。僕らが住んでいるのはここ。そして、これが海」
日本地図をぐるっと囲むよう、僕は指でなぞった。
この周りが海。海と隣の県、ここじゃないと魚は取れないんだ。
弥生は首を大きく縦に振った。画像があると説明もしやすい。
「海と隣り合わせの県を応援したいと思ったら、『頑張ってね!』と応援する気持ちでお金を送る。お金をもらうと嬉しいよね。だからお金をもらった県は『ありがとう』とお礼を返してくれる。そのお礼がお刺身だったりするんだ」
「そうなんだ〜」
伝え方というのは難しい。お客さんに対しても、社内に対しても、自分の思いや考えが伝わっているかどうかわからないことがある。子どもがいることで、「どう伝えればわかりやすいか?」を考える良い機会になる。
ふるさと納税の目的
「ただ今回は、この熊本県ていう地域を応援しようと思っているんだ。何度か行ったことがあるけどすごくいい街だった。もっと元気になってほしいなって。このお礼のお米も美味しそうだ」
「おすしは〜?」
「お寿司は作ってもらったものを食べるのがいちばん!これから食べにいこうか?」
「やったぁ〜!」
僕はPCを閉じた。
熊本は確かに行ったことがあるし素敵な街だ。だが純粋に応援したいというよりも、返礼品の「お米」に釣られてしまっている。これが人間の卑しい部分だ。
ふるさと納税の目的がみな「返礼品」になっている。今後ふるさと納税の制度は無くなるかもしれない。だから今のうちに使える制度はフル活用していきたいと考えている。
続く
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