第32話~太らない習慣~

物事の考え方

僕の体型に興味がある女性が多い

「やまださんて、失礼ですが体重どのくらいなんですか!?」

今日のシフトの、ショートヘアにおしゃれなパーマをかけた30代女性従業員は僕に尋ねてきた。

同じ職場の女性スタッフに口をそろえて聞かれる内容だ。自分で言うのは恥ずかしい話だが、おそらく同じ世代の男性からしたらかなり痩せている方だ。

「僕ですか?体重58kgです」

「えぇ~!すごい痩せてますね。身長は?」

「174センチです」

「ガリガリじゃないですか~!いいなー!」

「良くないですよ(笑)男ならもっとガッチリが良かったです」

「えぇ~」

なんて会話を何十回、何百回したことか。もちろん、けなされているようではないので悪い気はしない。

「何かやっていることはあるんですか?ダイエットとか?」

「ダイエットっていうダイエットはしたことないです。炭水化物はいっぱい摂りますし、お酒も大好きです。あーでも強いて言えば…」

「強いていえば?」

年頃の女性従業員は興味津々だ。お客さんはまだ来店していない。なんとかして僕の情報を参考にしたいという気持ちのようだ。

体型維持のためにはランニングで十分

「ランニングですね」

「あぁ~…」

このトーンダウンもいつも通り。女性はランニングをとてもハードルの高いものと感じているようだ。

「毎日走っているんですか?」

「いえ、休みの日の朝だけですよ。早朝に、空腹で週に2回、6km、40分くらいですね」

「走るのしんどくないですか?」

「しんどくないペースで走れば楽に走れますよ。しんどいペースで走ると継続できないじゃないですか」

「たしかに。でもなぁランニングをする時間、取れないなぁ」

僕はインスタントコーヒーを一口すすった。

「たしかに1回40分て結構な時間ですよね。痩せるには有酸素運動が良いって言うじゃないですか」

「はい、それは聞いたことがあります!」

30代の女性従業員は語気を強めた。どうしてもダイエットをしたいという気持ちが前面に出ている。

「有酸素運動は、だいたい30分以上身体を動かし続けることなんです。そこから有酸素運動のスイッチが入ります」

24時間ジムに通っていたころ、どうしたら脂肪が燃焼するかを勉強したことがある。

「だから脂肪を燃焼させるにはどうしても30分以上は必要なんです。短時間で脂肪燃焼する方法もあるにはありますが、それはかなり激しい運動だと聞きます。それを継続する方が難しいと僕は思いますよ」

パーマをかけたオシャレな女性従業員は、露骨に嫌な顔をした。

運動しないで痩せたい、は不可能

「食事だけじゃ、痩せませんか?」

「痩せません」

僕はきっぱりと言いきった。

「人間の身体は運動をするためにできています。運動をして筋肉をつけて、その筋肉が代謝を上げます。食事はその筋肉などの身体を作ります。食事を抜いてダイエットするのは、理にかなっていません」

女性は下を向いた。だが楽して痩せる方法は、ない。

「たくさん食べて、たくさん運動して、たくさん寝る。僕がやっているのはこれだけです」

「ランニングかぁ…。やってみようかな」

従業員はため息をついた。ダイエットは、覚悟が必要なんだ、そう思ってくれたらしい。

「大丈夫ですよ。習慣ていうのはついてしまったら逆にやらなければ気持ち悪くなります。習慣化するまでがハードルになるんです。まずは1か月続けられるようなペースでやってみたらどうですか?まずは週1でも良いですよ」

「そうですね…」

「1か月続いたら、食事奢りますよ?」

僕は冗談めいたトーンで女性従業員に伝えた。

「えぇ~それじゃあダイエットの意味なくなっちゃうじゃないですか!」

「そうですね、ではやめときましょう」

「いえ!1か月続いたら奢ってください!」

「あはは、もちろんです」

カランコロンカラン

「あ、いらっしゃいませ!」

ちょうどカウベルが鳴った。今日の初めてのお客さんだ。

女性従業員が少し前向きになってくれたかな…仕事の内容ではなくても、何かをやろうと思ってくれると僕も嬉しい。そうやってモチベーションを高めるのは、マネージャーの僕の仕事である。

続く

やまだ のりお

◆所有資格◆
薬剤師
簿記3級
FP3級
 
◆経歴
前職:東証プライム上場企業 営業職

現職:サービス業 エリアマネージャー
 
第一子誕生をきっかけに転職。
仕事と家族と充実した毎日を過ごしています!
 
資格と経験を活かしつつ
健康・お金・転職・マネジメント
などの情報を発信しています!

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