非日常空間の休日の朝
休日の良さは朝にある。
目覚まし時計という時間に縛られることなく、自由な朝を迎えることが出来るからである。
とは言うものの、40才という年齢にもなると、目覚ましよりも一度は早く起きる。平日と同じ、大体4時から5時に自然と目が覚める。
薄暗い朝。上半身を上げて娘の姿を探す。5才の弥生は180度回転して、僕の足の方に頭を向けて静かに寝息を立てていた。
ベッドから落ちそうではない位置であることを改めて確認し、安心してもう一度目を閉じる。今日も無事に朝を迎えられたこと、弥生がいつも通り健やかに寝ていること、2つの安心を得た二度寝こそ心地いいものはない。僕は再び目を閉じる。
何も考えない、ゆとりの朝ごはん
何か重いものが僕に乗っかってきた。その衝撃で目を覚ます。見知らぬ風景。ここが自宅ではないことを思い出す。
「パパ、おはよう!」
天然パーマが寝起きになるとさらにボサボサにした笑顔の弥生の後ろの窓から朝日が差し込んでいる。眩しさに目を細めながら、iPhoneの時計表示を見る。時間は7時を回っていた。
「おはよう…もう朝ごはんの時間だよね。お腹空いたよね。ごめんごめん。何食べたい?」
「うーん、おにぎり」
「ホテルでご飯出ないから、近くのコンビニに行こうか?」
「うん!」
宿泊したAPAホテルのすぐ隣には、「まいばすけっと」というイオン系列の早朝から営業しているスーパーがあった。そこでサンドイッチと、ツナおにぎりと、ヨーグルトを購入した。
ホテルに戻った。チェックアウトはゆっくりしたいため、また混雑を避けるために延長料金を払って11時にしてもらった。10時と11時では出発の忙しさが段違いである。
ホテルでは今は無料で動画を楽しめるようだ。弥生が好きそうな動画は…
「あ、ぷりきゅあだ!」
弥生が口の周りに米粒をつけながら叫んだ。何世代か前のぷりきゅあの映画が無料で観られるらしい。
「これつけながらヨーグルト食べたり、出かける準備しようか。今日はカップヌードルミュージアムに行く日、だもんね」
「カップラーメンたべたーい」
「たぶん今日は作るだけじゃないかな。作ったら、あとはママと食べな」
「うん、たのしみ~!」
変に「旅行は必ず美味しいものを食べなければいけない」という固定概念が無い年代な分、朝のテキトーなご飯に文句ひとつ言わない。
何も言わないからこそ、かえってもっと良いものを食べさせてあげたいという気持ちになってしまうのは、僕は天邪鬼な性格のせいだからか?
続く
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