第56話〜楽(ラク)な独りと、大変で賑やかな家族…どっちが良い?~

家族

家族と過ごす。当たり前の日常のようだが、実は貴重な瞬間である。独身の時は、独りが楽で楽で仕方がなかった。その時に戻れるかと言われたら、難しいだろう。

だが、いずれはまた独りになる時がやってくる。娘が早くても高校生になれば、独り暮らしだって始める可能性が少なくない。だから、今一緒に同じ時間を共有できるのもあと数年。本当に時間は限られてくる。

「一人の時間が欲しい」

そのような気持ちはそっとしまっておこう。いずれはその時間が確実にやってくる。今のこの家族との時間を、大切にしよう。

わが子供のイメージが「憧れ」から「大変」に変わってきている

専業主婦のイメージは、一昔とはガラッと変化している。

それは、XやInstagramなどのSNSが普及したことにより、リアルな情報が取れるようになったからだ。

昔はおそらく、

「専業主婦は楽で良いよな」

「将来はお嫁さんになるのが夢」

ではないだろうか。だが今はどうだ。

「専業主婦って大変」

というイメージが定着しつつある。女性の社会進出よりもむしろこのイメージが、未婚率を上げている要因の一つであると僕は推測している。

専業主婦というよりも、大変なのは「子育て」なのだろう。

誰しもがラクをしたい、でも…

子供がいると、子供中心の生活になる。子供にある意味振り回され、「21時に寝かしつける」をみな目標にして、逆算して行動する。

逆算して行動することはとても合理的である。スピードが早くなるし、無駄がそぎ落とされる。だがデメリットもある。過度な「ストレス」がかかるのである。

これは目標に向かって仕事をするのと一緒。子育てはほぼ「仕事」と捉えられるのである。

人間、「楽(ラク)」「安定」を求める。大変なことから逃げようとする。だからこの情報化社会の中、

「どうやら子育てって大変らしい」

という情報が出てくると、そこから逃げようとする。

確かに、独りの方が圧倒的に楽だった。何も考えなくて良い。いい意味で「無」になれる。だが、その生活に戻れるかというと、不可能だ。何故なら知ってしまったからである。

「独りは楽。だが、味気なく寂しいものである」

ことを。

大変なことも、全部思い出に変わる

「弥生、もう寝るよ」

今日も21時に就寝するというミッションはインポッシブルになった。弥生はリビングで未だにYouTubeを食い入るように観ている。

「まだみたーい」

同じ動画を繰り返し視聴する娘。好きなものを繰り返し観るという行為が、僕の小さい頃とそっくりである。

僕はふぅーと、思わずため息をついた。

「ママも今日は仕事遅いって言ってたから、早めに寝とこ?明日眠いよ」

「…」

僕の言葉が聞こえないくらいに、YouTubeに集中しだした。

「…じゃあ、パパ先寝てるね。おやすみ~…」

「パパ!待って!」

テレビを観たいよりも、独りになるのは嫌だという気持ちが上回るようだ。弥生は早々にテレビの電源を消した。

「だっこして~」

「え~もう5才のおねえちゃんじゃん。それともまだ赤ちゃんなの?」

「あかちゃんじゃないもん!」

「じゃあ階段歩けるよね?」

「だっこ~」

こんな押し問答も、あと数年もすればなくなってしまう。数年後、こっちがだっこさせてほしくても

「やめてよ、恥ずかしい」

と弥生に言われることは目に見えている。

その将来のイメージが沸いた瞬間、僕はいつも折れてしまう。

「弥生…ほら、だっこで布団行くよ」

僕は両腕を彼女の方に伸ばす。

「いぇ~い!」

彼女は笑顔で僕の方へ飛び込んでくる。そしてそのぬくもりを感じて思う。

「まぁ、いっか」

と。

続く

やまだ のりお

◆所有資格◆
薬剤師
簿記3級
FP3級
 
◆経歴
前職:東証プライム上場企業 営業職

現職:サービス業 エリアマネージャー
 
第一子誕生をきっかけに転職。
仕事と家族と充実した毎日を過ごしています!
 
資格と経験を活かしつつ
健康・お金・転職・マネジメント
などの情報を発信しています!

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