人は考える葦
「あれをして、これをして…」
人間は考えるのが上手な生き物であるようだ。
人類は皆あたまが良い。物事を順序立てて考えることで先回りをして、問題解決を行っていく。考えれば考えるほど処理スピードは上がっていく。
「仕事ができる」
と言われる人の要素の一つは、「スピード」である。何手先まで考える人は、仕事が早いし、優秀だと言われる傾向が高い。
頭を使うデメリット
覚醒中、誰しもが常に考え事をしている。正確に言えば、起きていればいつでも考え事ができてしまうというのは、メリットでもあるしデメリットでもある。僕も一時期陥ったことがある現象それは…
「不眠」
である。
これはあくまで僕の場合だが、特にこの傾向が強いのは休みの日の夜、翌日が仕事の日である。
(明日はこれをして、まだこの仕事が残っていたからこれをこなして…)
と、ベッドの中で翌日の仕事のことを考えると、考えたまま朝を迎えてしまったということが幾度もあった。当たり前のように、睡眠不足の翌日の仕事のパフォーマンスは格段に落ちた。
「早く寝たい、帰りたい」
という気持ちに支配され、さらに仕事に集中できない状態になってしまったのだった。
たまたま観た昔のアニメ
休日。
たまには娯楽でも楽しもうかと、自宅でNetflixを開いた。
「美味しんぼ」という、グルメアニメの配信があった。料理が好きな僕は、高校時代再放送でよく観ていた。社会人になって改めて観ると、料理以外の部分に感銘を受けることが多くなる。
特に今回たまたま視聴した
「第71話 骨のない魚」
そこで登場する不眠症レーシングドライバー。レースのことを考えすぎて不眠症になってしまった。
彼の不眠症の改善を狙ったわけではないのだろうが、料理に詳しい主人公・山岡士郎がそのドライバーに
「優勝したら『骨のない魚』をごちそうしますよ」
と伝えた。そのドライバーは、
「骨のない魚って何ですか?教えてください!僕が不眠症なの知っているでしょ?」
と言った。だが山岡士郎はその魚の正体を教えることはしなかった。
ドライバーは、
「骨のない魚ってなんだ?イカ?タコ?深海魚?もしかして人魚…?」
そんなことを考えている間に、深い眠りについたという。結果、ドライバーは不眠症が改善し、レースにも優勝をした…とそんな話である。
寝る前に考えることを改める
僕はそこにヒントを得た。
「仕事に関係のない仕事を考えると、逆にストンと睡眠に落ちるのでは?」
と。
僕はさっそく試してみた。
僕が常に仕事で考えるのが、人間関係。人が絡むと寝られなくなることが少なくない。
そこで僕は、人が登場しない考えごと、を実践することにした。
人が絡まないものとして、「食材」がまず思い浮かんだ。
リンゴ、バナナ、小松菜、キュウリ、トマト、ナス…
頭の中で、これらの食べ物を色々想像した。
リンゴのヘタはどんなカタチになっているか?
キュウリはどのくらい長さになっているか?
トマトはどのくらい赤くなっているか…
そんなことをしていると、気づいたら朝になっていた。
人が絡まない世界を想像して目を閉じる。最近は毎日考えて寝ているが、今の所連日ストンと寝られるようになっている。
高校生時代にハマった「美味しんぼ」。意外な副産物を得ることができた。
続く
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