第36話~翌日を考えた夜ご飯~

家族

困ったら鍋

「パパ、今日の夜ご飯なぁに?」

弥生が献立をたずねる。世のお母さんにとっては、この純粋な質問ですらストレスに感じるという。

毎日ご飯を作らなければならない立場にとって、急かされているように感じるからとのことだ。

妻もいつからか「料理が嫌い」と言うようになった。付き合っていたころはキッチンドランクをしながら料理を楽しんでいたはずなのに。

水曜日と日曜日にしか料理を作らない自分も毎日料理を作るようになったら、そのように感じてしまうのだろうか。

そんなことを考えながら、娘弥生の質問に答える。

「今日は鍋」

「オムライスじゃないの~?」

彼女は少し残念そうである。

とりわけ彼女が好きなものは、寿司、ハンバーグ、オムライス、といったオーソドックスなもの。寿司以外は簡単に作れるが、ハンバーグ、オムライスは大人にとってはちょっぴり重い食事になる。

「鍋は簡単で美味しくてヘルシーだからね。オムライスはまた次、作ってあげる」

「やったぁ!」

ポイントは、「明日以降も食べられる料理か?」

どんなご飯を作るかは、翌日のお弁当にすることができるかどうかを考えて作る。

家からお弁当を持っていけば、一食150円ほどに抑えられる。外食をすると一食1,000円だ。

「自炊は副業」

と誰かが言っていた。本当にその通りだと思う。仕事の日にお弁当を持っていけば、一か月に約2万円の節約ができる。庶民にとっては大きな額だ。

40才のおっさんのお弁当は、基本「どんぶり」である。白いごはんに一品のおかず。それだけで十分である。

今回作るよせ鍋は、どんぶりにするに丁度いい献立である。

時間が限られている平日の昼ごはんは、極力早めに済ませたい。汁っけが多い丼は、かきこめる。

鍋は大量に作り置きすることもできる。そうすれば、だいたい3食分はお弁当として確保することができる。

晩御飯を鍋にすることは、一石二鳥も三鳥もするのである。

料理と言えないのではないか、そのくらい簡単

鍋は好きな具材を好きなだけ入れればいいだけ。

鶏もも肉、鮭、白菜、大根、きのこ、ニンジン、豆もやし…

先に具材をに入れてしまうと、土鍋が焦げ付いてしまうことが多々あった。今回はまずスープから投入する。

鰹節を小鉢にたっぷり入れて、レンジで1分。からからになった鰹節を拳で握って粉状にパラパラにする。手作りだしはこれでOK。

(↓料理の際にいつも参考にさせて頂いている動画)

お酒、お水、白だし、粉状鰹節を鍋に入れてスープを張る。ここに先ほどの具材を投入するだけ。とても簡単である。

鍋の良いところは、これを放置できること。この間にお風呂掃除をしたり、長女と遊んだり、さまざまなことができる。コンロの前で待機していなければならない料理ではない。時間が足りないと嘆く現代人の強い味方なのである。

グツグツグツグツ…

スープが具材を揺らす音がとても心地いい。弥生とのんびりテレビでYouTubeを鑑賞する。

「いいにおいがしてきた!」

弥生の純粋な一言が、鍋完成の合図である。具材の煮え具合を見る。

大根を一口

ほろほろの触感が口の中に広がる。ほどよい塩っけがちょうどいい味付けになっている。

次に人参を一口

生の人参特有の青臭さが消えて、甘味がする。ふわっとした口当たりでかむ力もほとんど要らない。

根菜類に火が通ればほとんどの煮物系は完成と言っていい。最後に豆もやしを鍋の上に乗っけて蓋をして火を止める。

「やよい、できたよ」

「おなかすいた~!」

鍋だけだと寂しいので、子供がすきそうなちくわキュウリもテキトーに作って完成。これで栄養素的には問題ないだろう。

実食

「さて…いっしょに挨拶!」

「いただきます!」

まずはスープをすする。食材が溶け込んだ出汁がうまい。茶色いスープに浮かんでいる脂は、鶏肉と鮭から出たものだ。それ以外で使っている油分はない。さっぱりとした飲み口がたまらなく、どんどん飲んでしまう。

このままではスープだけなくなってしまう。次にきのこだ。

きのこのプリプリとした触感は、どんな食材にも合う。子供にとっても食べやすい。つゆがぽたぽたと垂れるきのこから湯気が立ち上る。

鶏肉はもも肉を使っているので、どんなに煮込んでも固くなることはない。鍋にとても相性の良い肉だ。

この鍋を味噌汁かわりに白米をかきこむ。額から汗が垂れてくる。口の中をハフハフしながら食べる食事は、出来立てだからこそできるものである。

隣の弥生を見る。いつも食事に集中できずにふらふらしている彼女だが、今日はお腹が空いているからか珍しく食に集中している。誰かが、自分が作った食事を夢中で食べてくれるとこんなにも嬉しい気持ちになるのだ。(たかが鍋だが)

「…ふぅ、ごちそうさまでした」

「今日は一緒に食べ終わったね」

大量に余っている鍋の具材はジップロックに入れていく。明日以降のお弁当もここで完成する。

「ねぇ、パパ。全部ごはん食べたからおやつ食べて良い?」

「ん?いいよ」

「やったー!」

弥生が食事を完食する目的が打算的であったとしても、完食してくれることが嬉しい。

時間がなくて身体に良い食事を摂りたい。そんな時に鍋は間違いなくお勧めの献立である。

続く

やまだ のりお

◆所有資格◆
薬剤師
簿記3級
FP3級
 
◆経歴
前職:東証プライム上場企業 営業職

現職:サービス業 エリアマネージャー
 
第一子誕生をきっかけに転職。
仕事と家族と充実した毎日を過ごしています!
 
資格と経験を活かしつつ
健康・お金・転職・マネジメント
などの情報を発信しています!

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