第33話〜扇風機サッカー〜

家族

忘れた童心を取り戻す

子供が楽しいと感じる瞬間はどのようなものがあるか、大人になると忘れかけるものがたくさんある。

大人は打算的であり、純粋さを失う。嘘や裏切りなどが多くなるためだ。そのため、

「こどものころ、どんな事が楽しかったんだっけ?」と童心を失ってしまうことがある。

それを思い出させてくれるのが、やはり我が子である。弥生はどんなものでも楽しんでしまう。それはどんな5才児でもそうなのだろう。あらゆるものをおもちゃ化し、ゲーム化してしまう。「そんなものが楽しいのか」と感心してしまう。

子供は遊びの天才

休日の朝、いつものように晩御飯の仕込みを終わらせてからPC作業を進めていると、弥生が「あつーい」といい、家にあるハンディファン(扇風機)を持ち自分の顔にあてがっていた。気持ちよさそうにしているな、と思ったのも束の間、いろいろなものに向かってそのハンディファンの風を当て始めた。

消しゴム、くし、スーパーボール、ティッシュ…動かないものもあれば、ティッシュのようにふわふわとなびくものもある。それを弥生は面白がった。

「のどかな風景だな」と思いながら、PCの作業を止めて彼女の様子を観察していた。

次に選んだのが、お肉やお魚を取り出した後に水で洗って乾かしたハッポースチロールのタッパーだった。扇風機の風を当てるとツツーと綺麗に動くことができた。

「パパ〜、見て!」

弥生は目をキラキラさせて言ってきた。「すごいねー!」と僕もそれに応じる。そしてあるアイディアが浮かんだ。

子供のアイディアと大人の経験のコラボ

「やよい、その白い発泡スチロールちょうだい」

「ん?」

僕はハサミを取り出して、チョキチョキと発泡スチロールを切り始めた。

「パパ、何作ってるの?」

弥生は興味津々だ。

「うんとねー…」

丸型に切って、黒い油性のマーカーで仕上げをする。

「どう?何に見える?」

弥生は大きな声で

「サッカーボール!」

と答えた。

「正解。じゃあ扇風機2つ使って…こっちおいで」

リビングにある小さなテーブルにその発泡スチロールのサッカーボールを置いた。

「じゃあこれから扇風機サッカーをします!10点取った方が勝ちです!」

「えぇ〜!楽しそう!」

僕と弥生は向き合って、1つのボールに向かって扇風機の風を当てた。ペラペラのサッカーボールはプルプルと震えたかと思うと、イレギュラーな動きを見せて、宙にまったりはみ出たり、さまざまな方向に飛んでいく。

「両サイドにボールが出ちゃったらスローインね。相手の線を越えたらゴールってことで」

「うわぁー!楽しい!」

僕も珍しく童心に帰り、白熱して扇風機サッカーに集中した。

「…はい、10対4で、チーム弥生の勝ちです!」

「パパ、もういっかい!」

「お、いいよ。もう一回やろうか」

弥生も気に入ってくれたようだ。

子供のアイディアから、新しい遊びが生まれる。こうやって大人の僕自身も刺激をもらえる。子供と遊ぶことは、大人のためにもなるのである。

続く

やまだ のりお

◆所有資格◆
薬剤師
簿記3級
FP3級
 
◆経歴
前職:東証プライム上場企業 営業職

現職:サービス業 エリアマネージャー
 
第一子誕生をきっかけに転職。
仕事と家族と充実した毎日を過ごしています!
 
資格と経験を活かしつつ
健康・お金・転職・マネジメント
などの情報を発信しています!

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