世間ではなんてことのない土日も、家族一緒に出掛ければその1日はとても大切でキラキラとした思い出になる…
おでかけ前の簡単な準備
「弥生、荷物はちゃんと持ったか?」
「うん、もったよ!ともだちもたくさんいるよ!」
愛娘、弥生は僕に何体ものぬいぐるみを見せてきた。5才にとってぬいぐるみは友達同然なのだろう。
大衆コンパクトカーのトランクに、宿泊用の荷物をドサッと載せる。何の変哲もない土日も、隣の群馬県に泊まりに行くというだけで、それは家族にとって特別なものに変わる。
世間一般では
「土曜日と祝日が重なると本当にもったいない」
「土曜日祝日の場合、月曜日に振替休日がほしい」
と言われているようだが、水曜日と日曜日が休みの僕やまだのりおにとって、妻子とゆっくり過ごすことができる土曜の祝日は大変貴重だ。
「弥生、シートベルトはつけた?」
「だいじょうぶ!」
「理奈さんは?」
「大丈夫」
妻の理奈も準備はOKのようだ。
「じゃあ出発しよう」
iPhoneでナビを設定。群馬県の沼田市まで距離で言うとだいたい150km近く。片道2時間半はかかる。事前にGEOで借りた、弥生が好きそうなDVDを再生。これで娘の退屈をしのぐ。
サービスエリアもちょっとした楽しみである
後部座席で、妻と子の弥生が談笑しながらDVDを鑑賞している。前方の運転席に一人座っている自分は、周りの快晴の風景を楽しみながら車を走らせる。
20代の独身の頃は、高速道路も速度制限ギリギリいっぱいまで走らせていた。15年以上経ち、家族を持ち後部座席に大切な命を乗せている今は、時速80kmを常に遵守し穏やかに走る。
移動時間2時間半~3時間のうちに、トイレ休憩は1時間に1回はする必要があるだろう。5才の子供の膀胱の容量は大人ほど我慢できるそれではない。1時間おきに「弥生、おトイレ大丈夫?」とちょくちょく状態を聞かなければならない。
高速を使ってのお出かけで楽しみの一つといえば「サービスエリア」だ。
お出かけ中のサービスエリアは、ある意味異世界。普通のスーパーに売っているようなものでも目に留まってしまう。
赤城高原で見つけた屋外湯呑みの販売エリア。近所のお店で見かけたらそのままスルーしてしまうだろうが、お出かけの雰囲気が足を止めさせる。
妻子がトイレに行っている間、遠くの景色を見て深呼吸。晴天が僕を心からリラックスさせる。
「パパ~おまたせ~」
弥生がパタパタと近づいてくる。そして間髪入れずに
「のどかわいた~」
と自動販売機を見ながらつぶやく。飲み物をねだっているのだ。
「車にお茶が入ってるよ」
「え~たんさんがいい」
僕はふぅ~と軽いため息をつく。自動販売機には、100%果汁の炭酸ジュースという珍しいものが売ってあった。
「これならまだ良いか…」
iPhoneを取り出し、電子マネー決済で飲み物を購入。QUICPayを使い始めてから、買い物と家計管理が本当にやりやすくなった。
「ありがとう~」
最近コーラや炭酸ドリンクにハマりだしている娘。親が厳しく規制しても、いずれできる友人たちと飲み始めることを考えたら、たまになら飲ませてあげよう、そう考えてしまう。
リフレッシュ完了。目的地まであと半分を切った。
続く
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